イングランド代表の逞しき胸に咲く「赤い薔薇」の由来とは

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イングランド代表のお馴染みの薔薇エンブレム(C)日刊ゲンダイ

【ラグビーW杯 四方山話】#6

英国の国花は薔薇。正確には「テューダーローズ」という。外側が赤い花弁で中心部が白い花弁という不思議な薔薇である。最近は品種改良で似たようなものもあるが、あくまでも架空の花だ。

非公式だが「赤薔薇」が国花として使われることもある。イングランド代表は、この赤い方を採用している。筋骨隆々とした体に咲く一輪の赤い薔薇は、なかなかもってセクシーである。

世界史で習った「薔薇戦争」を覚えているだろうか? 15世紀にイングランドで起きた王位継承をめぐる2つの名門一族の戦いだ。戦争名は、後の世に名付けられたものだが、その両家の紋章が由来になっている。

赤い薔薇の紋が当時のイングランド王家「ランカスター家」、白い薔薇の紋が「ヨーク家」という貴族である。両者の戦いは30年間にわたり、最終的にはランカスター家の血筋を引く「テューダー家」が、ヨーク家を倒して幕を閉じる。

その後、テューダー家の王がヨーク家の王女と結婚。「テューダー朝」を開いた。その時、憎しみ合っていた両家の紋が合体したわけだ。

だったらラグビー代表は、テューダーローズをエンブレムにすればいいのでは? とも思うのだが「勝った方の紋章」を使っているという話だ。 本当かどうか、分からない。「ラグビー校の紋章に赤薔薇がついているから」という説もある。

ちなみにサッカー・イングランド代表のエンブレムには、3匹のライオンと共に10輪のテューダーローズがついている。

英国の国章であるエリザベス2世女王陛下の紋章にも、ライオンとユニコーンの足元にスコットランドのアザミ、北アイルランドのシャムロック(マメ科のクローバー)にテューダーローズが添えられている。ん? ウェールズは? ドラゴンは? ネギは? ラッパ水仙は? ダチョウの羽根は? ユニオンジャックもそうだけど、いつもウェールズの要素が入っていないのはなぜ?

それはまた別の機会に譲るとして――。

イングランド代表のプロモーションビデオは、世界のクロサワばりの映像で赤薔薇の紋が入った白い甲冑姿の代表選手たちが躍動している。ぜひご覧あれ。

(いとうやまね/コラムニスト)