

日本のスポーツ界では極めて珍しい秀才が現れた。
男子バスケットボールの代表は3日、親善試合ウィリアム・ジョーンズ・カップ(12日開幕=台湾)に向けた練習を公開。今大会は8月末開幕のW杯(中国)とは異なり、若手主体のメンバーで臨むため、大学生が半数近くを占めている。
6月のNBAドラフトで、ワシントン・ウィザーズに1位指名された八村塁(21=ゴンザガ大)のように、米国の大学を主戦場とする選手も含まれており、18歳のシューティングガード(SG)小川春太(18)もそのひとりだ。
米国人を父親に持つ小川はロサンゼルスで生まれ育ち、今秋には全米屈指の名門として知られるマサチューセッツ工科大(MIT)に進学する。
196センチと米国のバスケ選手としては大柄ではないものの、抜群の身体能力とIQの高さから、日本代表首脳陣からは将来を嘱望されている。明晰な頭脳を評価され、今大会を率いるエルマン・マンドーレ・ヘッドコーチ(HC)によって、この合宿では高校までプレーしていたスモールフォワード(SF)から第2の司令塔といわれるSGにコンバートされた。日本協会に自らのプレーを収めたDVDを送って代表入りをアピールするたくましい一面も持つ。
■「研究者かプロか」
MITと言えば、全世界から秀才が集う。化学、工学分野では世界最高峰の研究機関が揃い、多くのノーベル賞受賞者も輩出する。
小川はMIT入学後、チームの練習をこなしながら、実習に没頭することになるが、「将来、研究の道に進むか、プロになるか、まだ決めていません。まだ(2年生で選択する)専攻も決めていないので、1年間はいろいろと見て(将来のことも含めて)考えたい」と、希望に満ちあふれた表情で話した。
名門大学での学業との両立は並大抵のことではないものの、米国のエリート校出身のNBA選手は少なからずいる。最近の例では昨季、トロント・ラプターズのファイナル初制覇に貢献した台湾系米国人のポイントガード(PG)ジェレミー・リン(30)は、あのハーバード大卒だ。 小川がプレーするMITはNCAAディビジョンⅢ(3部リーグに相当)。八村が在学したゴンザガ大のディビジョンⅠよりもレベルははるかに低い。八村のようにドラフト指名を目指すには、MITをディビジョンⅡに昇格させるだけの働きを見せるしかない。